一年半、A社は組織改変に着手、Zさんは経営企画室への異動が決まった。Cさんは、空いた経理マネージャーのポストには、自分が昇格するものとばかり考えていたが、総務の古株だった人物が経理部門にきて、Cさんの昇進は見送られた。しかも昇進に反対したのは、Zさんを含む比較的自分に近い人たちだったと知り、失望したCさんは転職を志望するようになった。「対外交渉をしなかったのは、Zが特別に話がうまかったから。自分にもそれなりの交渉能力はあるつもり。
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もちろん実務には自信がある」というCさん、我々の目から見てもじゅうぶんなコミュニケーション能力とキャリアを備えており、さしたる苦労もなくソフトメーカーB社から内定を獲得することが出来た。CさんがA社人事に転職の話をしたところ、たいした引き留めもなく、内定から十日後にはB社への出社を果たしていた。しかし、後になってA社はCさんの抜けた穴の大きさを知ることになる。CさんがA社を離れてから二ヵ月、A社で働く別の転職希望者が相談に訪れ、A社の実状を話してくれた。A社の経理実務はまったく機能しておらず、社内は混乱しきっているという。それを裏付けるように、一ヵ月前から新聞・求人誌にはA社の経理求人が掲載され続けている。縁の下で支えていたCさんは、実はA社経理の大黒柱だったようだ。